光・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・白い、雲・・・・・・・・」
・・・・・俺は死んだのか?
白く激しい光が満ちる中、風の体は動かずただ傾いていく。
純白で、汚れのない白。
光で何も見えない・・・・・・・・・・そんなくらい。
-----------まるで”あいつ”のような、そんな・・・白。
「・・・いつもなら答えるだろ?いるのか?」
もう一度呼ぶ。今度は呟きではなく、ちゃんと問いかけるように。
--------思えば風が宿敵と思い、追いかけていた雲は最後・・・伯爵を倒す時、風に協力した。
自ら伯爵と融合し、内から伯爵を押さえつけた。
--------そして自分と一緒に、倒せと言った。
あれで良かったのか?
俺は自分の身とひきかえに、お前と伯爵を倒した
お前は自分の身とひきかえに、俺に伯爵を倒させた
どちらも、生き残る事はない、戦い。空しいとも思える。
「お前も俺も・・・・死んだ・・・・・・・良かったのか?あんな戦い・・・無意味じゃないのか?」
もう一度、誰も見えない空間に問いかけた。
と、その時。
風の耳に”あいつ”・・・雲の声が、聞こえた。
「相変わらずキミは素敵だね、黒き風・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・!白い雲・・・・・・・!!」
半ばいるはずもない、と諦めかけていた風の驚く顔を見て、雲はクス、と笑った。
「・・・そして変わらない。相変わらず消極的なんだね・・・僕とキミ、両方が死んだって・・・やってきた事は無意味?」
「・・・・・・・だが!あのオスカーという男は先代の混沌、と言った・・・混沌はまた蘇るかもしれない。」
そう、12年前の先代の混沌も、今と同じように滅びた。
そして今の代の混沌が生まれ・・・それもまた今、風と雲によって滅ぼされた。
-----------------ならまた、混沌は生まれてくるんじゃないのか?
また同じ事が起こって・・・続いていくんじゃないのか?
「でもその時までは混沌は存在しない。・・・・・・・・生きる者が穏やかに暮らせる時が来る。それが一瞬しか持たなくても、
たとえ時間稼ぎにしかならなかったとしても、それは何か残したって言えるんじゃないかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「それにさ。死んだワケじゃないんだよ」
いきなり冗談なのか、突拍子もない事を言い出す雲に風は顔をしかめる。
「・・・・・・・どういう事だ」
「あの外界の子供たちが異界に入ったとき・・・、最初。キミはどんな状態だったのかな?」
言って、また笑う。
「!!」
そして何かに気がついたように、風は目を見開いた。
「そうだよ・・・・キミは12年前の戦いの後、眠っていた。」
-----------------だからまた、眠るだけ
「しばしのお別れだよ、黒き風。・・・・・・・・・また寂しくなるな」
言葉の通り寂しそうに、雲は今度は微笑んだ。
だが今度は、少し厳しい顔になる。
「また目覚めたとき・・・・・その時また混沌に利用されるかもしれない。・・・・・でも、その時はまた僕が止めるから・・・・・・・・
だから・・・念のためだけど、もう二度と目覚めないなんてよしてよね。・・・・・・・・・・・・・・また会いたい」
いつもと違って雲は素直に、そして恐れるように静かに呟いた。
「絶対、また会いたいから」
「もし俺がその時お前を覚えていなかったら・・・・・・また宿敵として追う事になったら、どうするんだ?」
いつになく意地悪な問いかけをする風に、雲は目を閉じて迷わず答える。
「キミが僕を覚えてない、なんてあり得ないね。追われたら・・・腕ひっ掴んで力ずくで思い出させるさ」
そして声をたてて笑った。
・・・・・風も、少し照れくさそうに”それはどういう意味だ”と微笑んだ。
------------------白い光が、優しさを帯びて少しだけ和らいだ。
「そろそろ時間だね」
「・・・・・・・ああ」
名残惜しそうに二人は言葉を交わす。
雲は何か思いついたように手を叩くと、風に一言、言った。
「約束のキス」
「・・・・・・・・は?!」
さっきまでマトモだと思っていたのに!!(泣
こんな時までそんな・・・・!
「こんな時だからこそ、だよ。また会えるおまじない」
雲は目を閉じて、風にいつもと違い優しく、本当に優しくキスをした。
----------離れたくないという雲の想いが、伝わってきた。
それでもそんな素振りは見せず、今度はいつも通り・・・・・少し偉そうに言った。
「い〜い?勘違いしないでよ!お別れのキスじゃないんだからね、再会の約束のキスなんだから!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、よく分かった」
離れたく、ないな
こんなセリフ・・・ホントは言いたくなんてない
僕らしくないしね・・・・
雲は自嘲する。
そして柔らかに微笑った。
「風。愛してた・・・・・・・・今も、愛してる。キミがたとえ照れてやめろと言ったって、僕は恥ずかしげもなく言えるよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕の中でたった一つだけ、確かな事だからね」
「・・・・・・・やめろとは・・・言わないが・・・・・・・・やっぱり恥ずかしいぞ」
「キミらしくて非常に結構な事だよ。そんなキミだからこそ、だね」
----------雲がそう言うと光はかすれ、しばしの別れの時を告げた。
「うん。さよならは当然言わないから。・・・・・・・・・・・・・・・・またね」
「・・・・・・・・・・・また」
互いの姿が、互いに見えなくなっていく。
その時雲は急に顔を歪め、風を抱きしめた。
・・・キツク、キツク。
大事なものがそこにあると、確かめるように。
------------------------そして、手放した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・光は消え、風は止み、異界には青く澄み渡った空だけが静かにその存在をたたえていた。
★FIN★
書くとき泣きそうになりました・・・・・・・・・
イヤ、自分の小説を読んでではなく、終わった寂しさに。
これでお話の区切りはついたと思うから、これからドンドコ楽しい小説書くぞ!
あくまでも区切りです区切り。
そして短い。あんまり多く語ると、なんか美化してしまいそうで。
ああコイツこんなモンもたまには書くんだなぁと、ただそれだけ思っていただければと思います。
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